[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」



焼いて食べるソーセージ

ここでは、たいてい焼いて食べるソーセージを紹介する。小さなソーセージはそのまま、大きなソーセージは板状に切ってから焼く。「焼く」とは、多くの場合フライパンに油をひいて焼くbratenか、火の上方に設置した網の上でグリルするgrillenことを意味する。フライパンの場合、油は日本の調理よりもたっぷり使うことが多い。

なお、焼いても食べるが湯の中で加熱しても食べるソーセージがこのページに含まれる場合がある。



ブラートソーセージ


ブラートソーセージ

ブラートソーセージBratwurstが意味するものは、2つある。

(広く一般的な意味)ブラートソーセージは、たいてい豚肉を使い(時には、また種類により牛肉も)、普通は亜硝酸塩で発色させない、人工物でない本物の腸に詰めた、一般的な調理法としてフライパンに油をひいて、あるいはグリル網の上で焼く加熱ソーセージBrühwurstの総称。(なお、特別な種類の(燻煙し、そのまま食べられる)ブラートソーセージとして、こちらも参照。)
この名称Bratwurstは語源的にはドイツ語の「焼くbraten」とは関係ない。この名称Bratは加熱ソーセージの中に詰める挽肉Brätに由来するので、@字義通りに解釈すると大部分の加熱ソーセージが含まれてしまう。Aしかし普通は限られたタイプのものがブラートソーセージと呼ばれる。このタイプは上記のように焼いて食べることが多いが、焼かない調理法もある。B多くの一般人は名称のBratをbratenだと思っており、ブラートソーセージというと「焼くためのソーセージ」および「焼いたソーセージ」だと思い込んでいる。
ドイツのブラートソーセージでもっとも一般的な売り方・食べ方は、インビス(ソーセージスタンド)で切れ込みを入れた小型丸パンに挟んで売るもの。小型丸パンの切れ込みは、アメリカン・ホットドッグのように縦ではなく、ハンバーガーのように横に入れるのが普通。長いソーセージの場合は、パンの両端からソーセージが長々と突き出ていることもある。好みによりマスタード、ケチャップを付けて食べる。ソーセージスタンドではなく飲食店でソーセージが食べられる地方は限られてしまうが、そのさいはザウアークラウトまたはじゃがいもサラダまたは西洋わさびKrenをすりおろした物が付け合せとなる。またニュルンベルクやフランケンのブラートソーセージ調理法として、Blaue ZipfelまたはSaure Zipfelと呼ばれるものがある。輪切りたまねぎ、酢、ローリエ、粒胡椒、クローブ、ヴァホルダーの実で煮汁を作り、小型のブラートソーセージをその中で煮る(つまりこの料理ではブラートソーセージを焼かない)。酢のためにソーセージの表面が青みblauをおびるので、この名が付いた。パンまたは小型丸パンと一緒に食べる。
Saure Zipfel。上に載っていたたまねぎは撮影の邪魔なので取り除いた。試食報告は郷土料理レストラン編に
ブラートソーセージを肉屋で買う場合は生の(新鮮な)ものが買えるが、スーパーマーケットなどで売られているものは日持ちの都合から加熱処理されている。
焼くためのブラートソーセージRostbratwurst。スーパーマーケットにて。焼いて焼き色が付く前は、白っぽい色をしている。これは亜硝酸塩で発色させていないことを意味すると同時に、日持ちの都合からすでに加熱処理してあることも意味している。

(地域限定の意味)ブラートソーセージはまた一部の地域(フォークトラントと呼ばれるザクセン、テューリンゲン、バイエルン、チェコにまたがる地域や、ザクセン全域など)で、ポーランド風生挽肉ソーセージRohe Polnischeのような生ソーセージRohwurstをも意味してきた。この意味は使われなくなりつつあるが、上記の(広く一般的な)意味でのブラートソーセージを焼きブラートソーセージRostbratwurstまたはロースターRosterと呼べば、この(地域限定の)意味と区別される。

ここから先は、前者の(広く一般的な)意味でのブラートソーセージについて、その様々な種類を挙げる。

テューリンゲン・焼きブラートソーセージThüringer Rostbratwurstはテューリンゲンのソーセージだが、美味い焼きソーセージの代表格としてドイツ中で広く知られている。長さ15-20cm、太さ15mmほど。味は、マヨラナ(マジョラム)が特徴的。伝統的には炭火でグリルする。このソーセージは人気があるので「テューリンゲン風」の類似品を含めて広く出回っているが、ドイツの多くの地方ではレストランにはない。インビスで焼いたものを買うか、スーパーマーケットなどでパック入りを買ってきて自宅で焼く。インビスでは切れ目を入れた小型丸パンに挟んで売られ、マスタードを付けて食べる。ケチャップは伝統的に使わない。旧東ドイツの地方だけは、郷土料理レストランのメニューとしても食べられる。このソーセージが文献に初めて現れたのは1404年だが、その後時代と共に形を変えた。2004年以降「テューリンゲン・焼きブラートソーセージThüringer Rostbratwurst」の名は保護されており、テューリンゲンで作られたものだけに許される。類似品は「テューリンゲン風」と名乗らなければならない。
テューリンゲン・焼きブラートソーセージ。インビスにて。

テューリンゲン・焼きブラートソーセージ。試食報告は郷土料理レストラン編に

ゾネベルク・焼きブラートソーセージSonneberger Rostbratwurstは、ゾネベルクのソーセージ。テューリンゲン・焼きブラートソーセージの近似種で、コーブルク・ブラートソーセージとも似ている。(ゾネベルクはテューリンゲン州にありながらコーブルクにとても近いので、いわば当然の結果だ。)

北ヘッセン・ブラートソーセージNordhessische Bratwurstは、ヘッセンのうちテューリンゲンに隣接した北東の地域のソーセージ。テューリンゲン・焼きブラートソーセージにとても似ているが、もっと粗挽きで香辛料が効いている。長さ20cm、太さ15mmほど。炭火でグリルし、切れ目を入れた小型丸パンに挟んで売られる。好みによりマスタードを付ける。

フランケン・ブラートソーセージFränkische Bratwurstは、フランケン地方のブラートソーセージの総称。肉は比較的粗挽き、大きさは地域により異なり、長さ10-20cm、太さ15-20mm。フランケン地方の郷土料理レストランで「2本クラウト付きzwei mit Kraut」「3本クラウト付きdrei mit Kraut」と注文すると、このソーセージにザウアークラウトが付いて出てくる。「2本サラダ付きzwei mit Salat」「3本サラダ付きdrei mit Salat」と注文すると、じゃがいもサラダが付いて出てくる。このソーセージは1573年に考案されたと言われている。

ヴュルツブルク・ブラートソーセージWürzburger Bratwurstは、ヴュルツブルクのソーセージ。テューリンゲン・焼きブラートソーセージと同じ大きさだが、フランケン白ワインを加えて作る。

コーブルク・ブラートソーセージCoburger Bratwurstは、コーブルクのソーセージ。豚肉のほかに仔牛肉を用い、香辛料にはマヨラナ(マジョラム)を含む。ニュルンベルガー等よりも粗挽きで、香辛料が効いている。腸詰は、焼く前の状態で31cmもの長さがある。とはいえ、焼いている間にソーセージは少し縮む。このソーセージはグリル網の下に松笠を敷き、松笠を燃やしている上でグリルする。横にではなく縦に切れ目を入れた小型丸パンEinzelbrötchen(2連小型丸パンDoppelbrötchenを使うことも)に挟んで売る。そのまま手に持って食べる。
コーブルク・ブラートソーセージ(上)と、燃える松笠の上で焼いている所(下)。
(試食)コーブルクのマルクト広場に一年中出ているという屋台を訪ねた。細長く、炭火焼の黒い炭が周りに付く。粗挽きで、味が濃い。せっかく2連小型丸パンを用意しているのに2つに千切って使っている。よく見ると、2つ並んだ屋台のうちの片方は松笠を使わず普通の炭火焼だった。(そのくせ屋台には「松笠で焼いた」の宣伝文句がある。)

ホーフ・ブラートソーセージHofer Bratwurstは、Hofer Brodwärschdとも呼ばれる。ホーフのソーセージ。近隣の地方のソーセージ(テューリンゲン、コーブルク、フランケン)が比較的粗挽きなのにたいして、ホーフ・ブラートソーセージは細挽きで脂肪分が少ない。

クルムバッハ・ブラートソーセージKulmbacher Bratwurstは、クルムバッハのソーセージ。仔牛肉を多く含み、極細挽きの肉に氷を加えて作る。

ニュルンベルク・ブラートソーセージNürnberger Bratwurstは、正式名をニュルンベルク・焼きブラートソーセージNürnberger Rostbratwurstと言い、ニュルンベルクのソーセージ。フランケン・ブラートソーセージに比べて細挽きで小型。長さは7-9cm、太さは1.5cmほど。焼く前の生の状態で20-25gしかない。羊腸に詰め、味はとりわけマヨラナ(マジョラム)が特徴的。「オリジナル・ニュルンベルク・焼きブラートソーセージOriginal Nürnberger Rostbratwurst」の名称は、ニュルンベルク市内で、決められたレシピに従って作られた製品だけに付けられる。このソーセージはブナ材を燃やす火でグリルする。飲食店では、普通は1ダースまたは半ダースを食べる。ソーセージは錫製の皿に載せ、Krenと呼ばれる西洋わさびを添えて出される。「6本クラウト付きsechs mit Kraut」と注文するとザウアークラウトが付き、「6本サラダ付きsechs mit Salat」と注文するとじゃがいもサラダが付く。いっぽう路上販売では、「Draa in an Weggla(=フランケン方言)」と注文すると、3本をひとつの小型丸パンに挟んで渡される。
ニュルンベルク・焼きブラートソーセージ。

プファルツ・ブラートソーセージPfälzer Bratwurstは、プファルツのソーセージ。このソーセージはフランケン・ブラートソーセージやテューリンゲン・ブラートソーセージよりも粗挽きにする。長さ15cm、太さ25-30mmほど。たいていザウアークラウトと一緒に食べる。

赤ブラートソーセージRote Bratwurstは、単にRoteとも呼ばれ、またBaddzawürschtとも呼ばれる。シュトゥットガルトのソーセージ。ボックソーセージに似ており、極細挽きの豚肉と脂身を使い、特別に香辛料が効いている。グリル時に皮が破裂しないように、皮にいくつも切れ込みを入れる。ソーセージの両端には十文字の切り込みを入れ、グリルすることで切り込みが開く。マスタードを付け、スライスしたパンと共に食べる。しかしまた多くの人がケチャップを付ける。このソーセージの香辛料の効いた味を、ケチャップが少しまろやかにしてくれる。
色々なインビスのローテ。
(試食)シュトゥットガルトとその周辺では、祭りの出店で赤ソーセージRote Wurstが売られる。これは口語では単にローテRoteと言う。普通Rote Wurstと一緒にブラートソーセージBratwurstも「お品書き」に並ぶ。つまり、亜硝酸塩で発色させない一般的なブラートソーセージの他に、この地方では亜硝酸塩で発色させた(中身が赤っぽい色の)ソーセージも同様に焼き、同様にケチャップまたはマスタードを付けて食べる。これをRoteと呼ぶ。なお、ネット上の情報のように特別な切り込みを入れたローテには私はお目にかからなかった。また、特別に香辛料が効いているものにも出会わなかった。

シレジア・ブラートソーセージSchlesische Bratwurstは、シレジア・白ブラートソーセージSchlesische weiße Bratwurst、シレジア・白ソーセージschlesische Weißwurstとも呼ばれる。とりわけオーダー/ナイセ川の東側地域のソーセージ。仔牛肉(今日では一部または全部を豚肉にすることも)、豚脂身に氷を加えて極細挽きにし、レモン汁と白ワインを加え、豚小腸に詰める。日持ちするように湯の中で加熱することもある。バターでじっくりと焼き、白っぽい色のまま焼き上がる。このソーセージは伝統的に待降節の間だけ作られ、クリスマスイブと新年にシレジアのソース(フィッシュソース、レープクーヘンソースなど)で食べる。

オルマ・ブラートソーセージOlma-Bratwurstは、スイス北東部にあるザンクト・ガレン州のソーセージで、ドイツ語圏スイス全土で有名。豚肉、仔牛肉、脂身に牛乳を加えて作り、白い色をしている。このソーセージはマスタードを付けて食べるのをタブーとする。オルマ・ブラートソーセージは、しばしばスイスで最高のブラートソーセージとみなされる。このソーセージの名称OLMAは、同名の見本市(東スイス農業乳業展示会Ostschweizer Land- und Milchwirtschaftsausstellung)に由来する。
ザンクト・ガレン州には、オルマ・ブラートソーセージと同じ中身で大きさの違うソーセージがある。ザンクト・ガレンのブラートソーセージSt.Galler Bratwurstは115g、オルマ・ブラートソーセージは165g、そしてザンクト・ガレンの子供祭りソーセージSt.Galler Kinderfestbratwurstは220gもある。子供祭りブラートソーセージはグリルするか、フライパンで焼くか、湯の中で20分加熱して食べる。ちなみにザンクト・ガレンの子供祭りとは3年に1回行われる祭りで、天気の良い日を選んで行うので開催日が前もってわからないという珍しいもの。祭りが行われることになると、すべての商店が閉店するだけでなく、市議会までがその日予定していた会議を延期するというから驚きだ。また、祭りが明日できそうだと言われて肉屋が子供祭りソーセージを翌日早朝に作り、その後天気が急変して祭りができなくなると、住民たちはすでにでき上がってしまったソーセージを片付ける(食べ尽くす)ために呼び出されるという。

農民ブラートソーセージBauernbratwurstについては、こちら

ヴァートラントのブラートソーセージWaadtländer Bratwurstは、スイス西部にあるヴォー(ドイツ語ではヴァート)州のソーセージ。とぐろを巻いた形状に特徴がある。スイスの農民ブラートソーセージと同様の製法で作るが、豚小腸には1mの長さに詰める。この長いソーセージが肉屋では生のままで、ぐるぐるととぐろを巻いた状態で置かれ、量り売りされる。

フライブルクのミュンスター前インビス名物eine lange Rote mit Zwiebeln, halbiert。とても長いソーセージを2つに切っているが、halbierenでなくlanglassenと頼めば長いまま渡してくれる。


ズルツフェルトのメートルブラートソーセージ

ズルツフェルトのメートルブラートソーセージSulzfelder Meterbratwurstは、マインフランケン・メートルブラートソーセージMainfränkische Meterbratwurstとも呼ばれる。他のブラートソーセージほど香辛料を効かせない。太さは10-15mmほどだが、長さは非常に長い。注文は「半メートルeinen halben Meter」、あるいはとても空腹ならば「1メートルeinen Meter」と言い、ザウアークラウトと共に食べる。
このソーセージは1953年にローレンツ・シュタルクにより考案された。


射撃ソーセージ

射撃ソーセージSchützenwurstは、Schützenwürschtとも呼ばれる。シュトゥットガルトのブラートソーセージで、太い。マスタードを付けて食べる。
このソーセージは1875年にシュトゥットガルトで行われた有名なドイツ射撃大会の後で命名された。


仔牛肉ブラートソーセージ

仔牛肉ブラートソーセージKalbsbratwurstは仔牛肉を使ったブラートソーセージ。スイスで作られる。有名なものにスイス北東部のザンクト・ガレン州のソーセージがあるので、まずこれを紹介しよう。

ザンクト・ガレンの仔牛肉ブラートソーセージSt. Galler Kalbsbratwurstは、仔牛肉35%、豚肉10%、首脂身25%、牛乳30%で作る。亜硝酸塩で発色させない(だから加熱後は白っぽい色になる)。塩、胡椒、メースなどと共に極細挽き用肉挽き器Blitzで挽き、豚小腸に詰める。75℃の湯で加熱し、水で冷やしてから売られる。法律の規定により、製品1Kgに含まれる乳蛋白は20gを超えてはいけない。レストランのメニューでは、グリルしたソーセージにオニオンソースとレシュティを添えたものをよく見かける。レシュティの代わりにフライドポテトのこともある。ザンクト・ガレンの仔牛肉ブラートソーセージSt. Galler Kalbsbratwurstという名称は、ザンクト・ガレン州で製造されたものだけに許される。他の地域で作られたものは「ザンクト・ガレン風」と名乗らなければならない。

さて、仔牛肉ブラートソーセージと名の付くものはスイス各地にある。そのさい多くの製品に共通するのは、仔牛肉を主としながら豚肉も使う点、亜硝酸塩を使わない点、豚小腸をケーシングとする点、湯の中で加熱して白っぽい色に仕上げてから売る点。いっぽう個々の製品の相違点としては、次のものが挙げられる。スイスの食料品規律により、仔牛肉ブラートソーセージを名乗るためには(水、氷、牛乳を除いた残りの)肉、脂身の少なくとも50%が仔牛肉でなければならないが、コスト削減のためか、仔牛肉の一部としてしばしば少量の頭肉が使われる。そうかと思えば、逆に高級品志向で100%仔牛肉を使う製品もある。牛乳は、しばしば粉ミルクや乳蛋白と氷水で代用する。
加熱済みの仔牛肉ブラートソーセージはそのままでも食べられるが、普通は食べる前にグリルする。

ちなみに、昔ドイツのオーバー(南部)バイエルンで白ソーセージの前身にまだパセリをちりばめず、羊腸に詰め、焼いて食べていた頃、このソーセージは仔牛肉ブラートソーセージKalbsbratwurstとして知られていた。


メルゲーズ

メルゲーズmerguezは、モロッコのブラートソーセージ。フランスへ移住したモロッコ人がフランスへも広めた。(と、ドイツのあるサイトでは紹介されているが、実際はもっと広くアフリカ北部のものらしい。)仔羊肉を主とし、牛肉も50%までは混ぜて良い。味はピリ辛で、香辛料は唐辛子、クミン、コリアンダー、ニンニク、ローズマリーを使い、時にはシナモンやミントも少し入れる。このソーセージはクスクスに使うこともある。

ドイツのメルゲーズ。インビスにて。
(試食)ドイツでは同じ綴りをドイツ語読みしてメルグェツと言うようだ。小さめのソーセージ2本をソースの入った鍋に漬けて温め、2連小型丸パンに挟んでくれた。ソースは普通のブラウンソースだが、ソーセージ自体はピリ辛。赤っぽい色をしている。



グリルソーセージ


グリルソーセージ

グリルソーセージGrillwurstは、グリル用のソーセージの総称。ブラートソーセージが含まれるし、ある肉屋の宣伝ではグリル用ソーセージとして、ボックソーセージリヨナーレーバーケーゼまで列挙していた。



その他のドイツの加熱ソーセージ


脾臓ソーセージ

脾臓ソーセージMilzwurstは、バイエルンのソーセージ。とくにバイエルン南部で知られる。製法上の分類は加熱ソーセージBrühwurstに属し、製法は白ソーセージに近い。つまり亜硝酸塩で発色させず、白っぽい色に仕上げる。ただし脾臓ソーセージの場合は、サクランボの種ほどの大きさに切った脾臓(普通は牛だが、時には豚も)を加えて作る。仔牛の頭肉を加えることもある。人工腸に詰める。直径5-9cm。脾臓だけでなく胸腺も加えて作ったものは胸腺入り脾臓ソーセージBriesmilzwurstまたは胸腺ソーセージBrieswurstと呼ばれ、高価。
このソーセージは普通、フライパンまたはオーブンで焼いて、じゃがいもサラダなどと共に食べる。インターネット上に見つかった他の調理法は、パン粉をまぶしてから焼くというもの。中には、板状に切ったソーセージを炒めたたまねぎ等と共にスープ皿に載せ、上から熱いビーフ・ブイヨンをかけるという調理法もあった。

脾臓ソーセージMilzwurstにはもうひとつの意味がある。それは、牛の脾臓に切れ目を入れ、脳、胸腺、香辛料を詰め、しっかり包んでからボイルし、その後板状に切ったもの。もっともBSE対策以来、食品に脳を入れることは禁止されている。


チーズソーセージ

チーズソーセージKäsewurstは、Käswurstとも呼ばれる。豚肉(時には牛肉も)のソーセージの中にサイコロ状に切ったエメンタールチーズをちりばめたもの。肉は亜硝酸塩で発色させる。腸詰にした後、湯の中で加熱する。(手作りで、食べる時にグリルするgrillenつもりなら、湯の中での加熱を省くこともある。油で焼くbratenつもりなら湯の中で加熱しなければならない。)市販の商品はたいてい熱燻gebratenする。時にはさらに風乾する商品もある。ある商品は、「サイコロ状のエメンタールチーズが入った肉ソーセージ」と紹介されている。
このソーセージは、しばしばグリルする。スライスして食べる。インターネットの情報によると、小型丸パンと一緒に食べたり、フライドポテトと一緒に食べたりする。

チーズソーセージ。オーストリア産。直径約5cm。表面に少し皺が寄っている。パッケージの表ラベルにはKäsewurst gebraten. im Heißrauch gegartと書かれ、裏ラベルにはnach Art einer Bergsteiger 1A-Salamiと書かれている。それに常温保存可能品なので、この商品に限ればドライソーセージまたはBrühdauerwurstに分類されるのだろう。
(試食)固さは、とりわけ固くもなくとりわけ柔らかくもないドライソーセージくらい。中にサイコロ状に切ったチーズがいっぱい入っているが、ソーセージごとgebratenされているのでチーズも乾燥気味。「チーズたっぷり!」というイメージで期待するほどの味ではない。


ロール巻

時にソーセージ一覧の中にその名が見られるロール巻Rouladeは、料理一般においては牛肉ロール巻やロールキャベツが知られている。しかしソーセージとの関連でロール巻が挙げられる場合、ロール巻の中でも加熱ソーセージBrühwurstまたは調理ソーセージKochwurstの特徴をもつものだけが該当する。牛肉またはその他の肉の薄切りでフィリングを巻き、フライパンなどで焼く(ボイルするものもある)。フィリングはベーコン、きゅうり、たまねぎ、きのこ、またはハムを細く切ったものだったり、細挽きの挽肉を詰めたり、その中にサイコロ状のタン(舌)を入れたりする。



オーストリアの加熱ソーセージ


クラーニ・ソーセージ

クラーニ・ソーセージKrainer Wurstは、クライナーKrainer、クロバッサklobasaとも呼ばれる。スロヴェニアのクラーニ市に由来し、オーストリアのうち、スロヴェニアと国境を接するシュタイアマルク州とケルンテン州のソーセージだが、アルプス山脈を越えて北側へ、バイエルン辺りまで広まっている。
本場スロヴェニアのオリジナルのソーセージはとても大きいそうだが、ドイツ語サイトではあまり情報がない。オーストリア等のクラーニ・ソーセージは、恐らくスロヴェニアのオリジナルとは異なるものだろう。
食べ方は、複数サイトに共通した情報を信じるなら、グリルするらしい。あるバイエルンの肉屋が書いているのは、熱くしても冷たいままでも美味しく、ザウアークラウトと一緒に食べる、スライスしてパンの上に載せて食べる、そのまま手に持って食べる、傷みにくい(クラーニ・ソーセージはBrühdauerwurstに分類されることがある)のでハイキングでリュックサックに入れて持って行く。ようするに何でもありか? 肉屋の宣伝だから、売るために誇張して書いているかもしれない。ところで最後の2つの用途は、巨大なソーセージには適さない。つまり、本場のオリジナルと違ってそんなに大きくない、ということになる。
オーストリアではこのソーセージをもとに、ひとつのバリエーションが生まれた。それをチーズ・クライナーKäsekrainerという。
名称Krainerの由来は、クラーニKranjのドイツ語名Krainburg。いっぽうklobasaのほうは、スロヴェニア語kranjska klobasa(=クラーニのソーセージ)に由来する。ということは、klobasaはスロヴェニア語でソーセージというだけの意味ではないか。


チーズ・クライナー

チーズ・クライナーKäsekrainerは、オーストリア東部の日常語でEitrigeとも呼ばれる。オーストリアのソーセージ。製法上の分類は加熱ソーセージBrühwurstに属し、粗挽きの豚肉にサイコロ状のチーズ(エメンタールなど)を10-20%加えて作る。軽く燻煙する。
このソーセージはオーストリアのソーセージスタンドWürstelstandで売られ、油で焼くか、グリルするか、ボイルgekocht(湯の中で加熱するbrühenことか?)する。(このようにチーズ・クライナーはボイルしても食べるのだが、元のクライナーとの関係もあり、この特集ではこの「焼いて食べる」ページに入れさせていただいた。)オリジナルであるグラーツのチーズ・クライナーは、マスタードと西洋わさびKrenで食べる。あるいはマスタードとケチャップで、好みによりカレー粉をふりかける(ドイツのカレーソーセージのようになる)。(しかしまあ、クライナー自体がスロヴェニアに由来するというのに、オーストリアで「オリジナル」を名乗るとは恐れ入った。)ソーセージスタンドで人気のあるものにチーズ・クライナー・ホットドッグKäsekrainer Hot-Dogがある。これはパンに穴をあけてチーズ・クライナーを挿し込み、マスタードかケチャップを付けて食べるもの。
このソーセージは1980年ごろオーストリアで考案された。


ボーア・ソーセージ

ボーア・ソーセージBurenwurstは、Klobasseとも呼ばれる。また、方言でBurenhäutl、Burenheidl(=Burenhaut)、Haße(=Heiße)などと呼ばれる。オーストリアのソーセージ。牛肉、豚肉、脂身、ニンニクで作る。出来上がった細長い腸詰は少し湾曲し、表面は赤黒い。
このソーセージはとりわけウィーンのソーセージスタンドWürstelstandで売られる。ある文献には、今日ではしばしばグリルして食べると書かれている。甘いマスタードを付けて食べるとも書かれている。別の文献ではマスタードとパン付きで紙皿に載せて売るという。ポピュラーだが、味のほうはそれほど良い評価を見ない。
昔は、長いソーセージに作ってから1人前を切り分けた。
ソーセージの名称Burenは、一説にはこのソーセージがボーア戦争の時代にポピュラーになったことに由来する。またKlobasseのほうは、スロヴァキア語のkolbaszに由来し、農民を意味する。



フランスの加熱ソーセージ


ブーダン・ブラン

ブーダン・ブランboudin blancは、フランスのソーセージ。家禽肉と牛乳で作る。黒いブーダン・ノワールと対照的に白い。味も対照的に淡白。しかしどちらもフライパン等で焼いて食べる点は共通している。
アメリカのルイジアナにはケイジャンと呼ばれるフランス系住民がおり、彼らは別スタイル、別の味をもつブーダン・ブランを伝えている。これは、家禽肉と牛乳のかわりに豚肉と米を使う。あらかじめ米を煮ておいて豚肉に混ぜる。



中国の加熱ソーセージ


香腸

香腸xiang-changは、中国の腸詰。豚肉と独特の香辛料を使い、豚腸に詰め、風乾してから蒸して作るらしい。しばしば焼いて食べるようだ。中国から遠く離れたドイツのサイトでも、少しだが紹介されている。



血ソーセージ


血ソーセージBlutwurstは世界中の多くの地方にあり、たいていは一般的な調理法として食べる前に焼くらしい。しかしながらドイツの血ソーセージはそのまま食べることがあるため、そのまま又は焼いて食べるソーセージのページでまとめて紹介した。


プッテス

プッテスPuttesとは、たいていはすりおろしたじゃがいも(レシピによりすりおろしたたまねぎ、卵、小さく切った生挽肉ソーセージMettwurstなどを混ぜる)を鉄製などの深鍋に入れてオーブンで焼いたものを意味するが、アーヘンでは焼いたbraten血ソーセージのことをプッテスという。



ひき割り麦ソーセージと、それに類するもの


ひき割り麦ソーセージ

ひき割り麦ソーセージGrützwurstはGrützewurst、Stippgrütze、Pfannengrütze、ソーセージ粥Wurstebreiとも呼ばれる。ひき割り穀粒を含むソーセージで、ドイツ中に広く見られる。製法上の分類は調理ソーセージKochwurstに属する。製法は、まず豚肉と厚皮(レシピによっては牛を使うことも)をあらかじめ煮てから挽肉にしておく。ひき割り穀粒(たいていは小麦または蕎麦;古くなって固くなった小型丸パンを使うことも)に肉汁を加えて煮たものを挽肉と混ぜ、香辛料(たとえば胡椒、オールスパイス、マヨラナ)を効かせ、その混合物を大きな腸(または腸の代用容器)に詰める。それを最後に半時間ほど湯の中で加熱する(腸に詰めた場合は破裂を防ぐために沸騰を避ける)。これで出来上がりだが、その後軽く燻煙することもある。
別のレシピでは、肉の一部または全部の代わりに豚の血を使う。その場合はたとえばひき割り穀粒として燕麦が使われ、レーズンを入れ、香辛料にはオールスパイスが使われる。これは赤ひき割り麦ソーセージrote Grützwurstと呼ばれる。赤ひき割り麦ソーセージの料理は、地方によってはその血だらけの外見から「死んだばあちゃんTote Oma」または「交通事故Verkehrsunfall」とも呼ばれる。
このソーセージはレシピ次第で、固めの粥状に柔らかく仕上げる場合もあるし、常温ではナイフで切れる程度の固さに仕上げる場合もある。いずれにせよ食べる前に熱くする。固形なら板状に切ってから焼くが、加熱すると中のゼラチン質が溶けて粥状になることが多い。これをザウアークラウトと塩茹でじゃがいもまたはじゃがいものピューレと一緒に食べる。あるいはまた、アップルムースと一緒に食べることもある。なお、ひき割り麦ソーセージの一種にピンケルがあるが、これはグリューンコールと一緒に煮て食べる。
なお、粥状のひき割り麦ソーセージをFrische Wurstと呼ぶことがあるが、「作りたてのソーセージ」もドイツ語でfrische Wurstなので注意。

ソーセージ粥。
(試食)郷土料理レストラン編へ

調理場のオヤジが屠殺料理の材料を似たような外見のソーセージで代用しやがった、その怪我の功名で、普通なら客の目に留まることなく取り去られてしまうケーシングに入ったままのひき割り麦ソーセージを見ることができた。


クニップ

クニップKnippはブレーメンのソーセージで、脂肪を多く含むひき割り麦ソーセージの類だが、原材料は一般のひき割り麦ソーセージとは異なる。むしろピンケルに似る。製法上の分類は調理ソーセージKochwurstに属し、燕麦粉、豚頭肉、脂肪の多い豚ばら肉、ラード、牛レバー、肉煮汁、塩、オールスパイス、胡椒で作る。香辛料が効いている。ケーシングに入れて煮るが、必ずしも腸詰でなく、布に包むこともある。後に粥状の中身をケーシングから出し、しばしばフライパンで焦げ目が付くまで良く焼き、パンと共に食べるか、炒めたじゃがいも(または塩茹でじゃがいも)とピクルス、またはアップルムース、または赤ビーツと共に食べる。あるいは冷たいまま、スライスしたライ麦パンに載せて食べもする。
クニップは、19世紀中葉におそらくオラフ・クニッペが考案した。昔は農家の屠殺のさいに残った屑肉で作り、貧しい農民の食べ物だった。今ではブレーメンの名物料理となっている。

クニップ。
(試食)郷土料理レストラン編へ



その他のドイツの調理ソーセージ


雌豚の胃袋

雌豚の胃袋Saumagenは、プファルツのソーセージ。製法上の分類は調理ソーセージKochwurstに属し、サイコロ状の脂身、挽肉、じゃがいも、にんじん、卵、刻みたまねぎ、塩、胡椒、マヨラナ(マジョラム)、ナツメグで作る。(香辛料は、レシピによりその他に次の中からいくつかを選んで使う:クローブ、コリアンダー、タイム、ニンニク、月桂樹の葉、カルダモン、バジル、キャラウェイ、オールスパイス、パセリ)。これらの混合物を豚の胃に詰め、沸騰した湯で煮る。その後オーブンで焼くこともある。
このソーセージは板状に切ってフライパンで焼いて食べる。付け合せはじゃがいものピューレとザウアークラウト。プファルツのワイン(リースリングなど)と一緒に。

雌豚の胃袋(ザウマーゲン)。
(試食)郷土料理レストラン編へ


サワー・ロール

サワー・ロールSaure Rolleは、北フリースラントのソーセージ。製法上の特徴や外見はプレス袋に近い。ただし、「血、レバー、脂身以外の材料はあらかじめ煮ておく」という調理ソーセージKochwurstの定義は当てはまらない。それはさておき、レシピを紹介しよう。牛肉の小さく切ったものと挽いたものを1:2で用い、それに8分だけ煮た米、卵、塩(亜硝酸塩)、胡椒を加える。切って袋状に縫い合わせた胃(牛の第1胃)に詰め、袋の口を縫い、竹串などで小さな穴をあけ、塩水の中で1時間とろ火で煮る。その後酢に漬けてマリネにし、その状態で重しを載せて1週間プレスする。漬けた状態で3週間はもつ。あるいは、1週間経ってから取り出して表面に脂を塗ることで日持ちさせる。食べる前に板状に切ってフライパンで焼き、茹でたじゃがいもなどと一緒に食べる。



オーストリアの調理ソーセージ


そばソーセージ

そばソーセージBreinwurstは、Preinwurst、Hirsewurstとも呼ばれる。オーストリアのシュタイアーマルク州のソーセージ。
豚頭肉、厚皮、ソバを3:1:1の割合で使う。頭肉と厚皮は、厚皮が軟らかくなるまで1.5-2時間煮て、骨や軟骨を取り除き、肉挽き器で挽くか細かく切る。ソバは、塩を入れた湯で柔らかくなりすぎない程度に煮てから濾す。頭肉、厚皮、ソバ、刻んで炒めたたまねぎ、塩、胡椒を混ぜ、太い腸に詰める。80℃の湯の中で45-60分加熱する。その後、水に20分浸けて冷ます。
食べる時はケーシングに詰めたままフライパンで焼く。付け合せはザウアークラウトなど。
ソバの代わりに米を使ってもよいというレシピがある。また、地方によってはソバの代わりに六条大麦を使うというネット上の書き込みがある。その場合でもそばソーセージBreinwurstと呼ばれる。
名称について。Breinという語はソーセージにのみ使われ、一般にはHirseと言う。イネ科に属する穀類の一部を意味する。一例としてよくキビなどが挙げられる。ところがこのソーセージにかんしてインターネットで見つかった記述は、ただBreinと書かれているだけか、BreinはソバBuchweizenのことだと書かれているかのどちらかだ。キビは出てこない。ソバはイネ科ではなく、事典の定義と食い違う。それでも、次のように推測せざるをえない。Breinという語は、少なくともそばソーセージを作る地域では、ソバを意味する。



シレジアの調理ソーセージ


ひき割り麦ソーセージ(シレジア)

ひき割り麦ソーセージGraupenwurstおよびGraupenwürstchenは、シレジアのソーセージ。ポーランド語ではkrupniokと言う。製法上の分類は調理ソーセージKochwurstに属する。白Weiße Graupenwurstと黒Schwarze Graupenwürstchenがあり、後者は原材料に血を含む。黒ひき割り麦ソーセージは、ひき割り小麦、豚の血、塩、胡椒、マヨラナ(マジョラム)、オールスパイス、ナツメグで作る。ひき割り麦ソーセージ(ドイツ)Grützwurstの同類だが、このソーセージの中身は固形物として仕上がる。油で焼くかグリルして食べる。



フランスの調理ソーセージ


アンドゥイユ

アンドゥイユandouilleは、フランスのソーセージ。小型のものをアンドゥイエットandouilletteと呼ぶ。中身に内臓を使うのが特徴的。
内臓としては豚の胃、腸、仔牛または羊の胃、腸が使われうる。どれとどれを使うかは地域により差異がある。トロワのものは豚の腸(50%以上)、胃を使い、細長く切る。カンブレのものは仔牛の第1胃、第4胃を使う。ジャルゴのものは豚の腸と少量の豚肉を使う。リヨンのものは仔牛の内臓を使い、時には少量の豚の胃、牛第4胃も使う。ルアンのものは豚の腸と仔牛の内臓を半々に使う。プロヴァンスのものは豚の内臓と皮付き頸肉を使い、細切りにする。ペリゴールのものは豚の胃を使い、時には少量の皮付き頸肉も使う。これらの内臓はたいてい、たまねぎとスープ用香味野菜と共に(または牛乳で)柔らかくなるまで煮る。それから小さく切るか、細長く切る。亜硝酸塩は使用し、ワインも使う。香辛料を効かせ、豚腸に詰める。ものによっては、ここで燻煙する。最後に煮るkochen。
アンドゥイユはフライパンやオーブンで焼いたり、グリルしたりする。強烈な味がするという。



サイトの道しるべ(ここから戻れます)